ロウバイが素敵なシンボルツリーに育ちました
ロウバイの花を初めて観たのは、大阪の万博記念公園でした。
当時は公園近傍の大学に通う学生だったので、1~2月の寒い時期に咲くロウバイの花を、自由に観賞することができました。
卒業後、東京で仕事するようになってからは、万博記念公園のような公園へ行くのも交通機関の乗り継ぎが必要で億劫になり、何より年度末の多忙な時期と重なるため、ロウバイの花を観る機会は途絶えてしまいました。
東京でサラリーマン生活していると、通勤経路の庭木や街路樹で季節を知るのが精一杯で、3月に紅梅白梅、4月に桜、5月にツツジ、6月にアジサイ、夏にサルスベリや芙蓉、秋は実や紅葉、このように巡っていきます。
それでも、ロウバイの花を観たくなった私は、何度か冬の公園に遠出したのですが、既に咲き終えており、代わりに早咲きの紅梅を観賞することが常でした。
このため、いつか自宅を得たらロウバイをシンボルツリーとして植えようと決めていました。
庭先にロウバイがあれば、季節や気候がどうであれ、開花を見逃すことは無いでしょうから。
念願の自宅を得て、庭の土壌改良などを重ねながら、満を持してロウバイの苗木を植えました。
大きな公園でロウバイを観るとそれほど大きくは感じなかったのですが、自宅の庭程度の敷地にあっては、ロウバイは存在感ある樹木に育っていきました。
しかし、これほど大きな樹木となったロウバイですが、冬になっても全く花が咲きません。
わずかながら蕾を確認したのですが、それもいつの間にか無くなってしまいました。
何か育て方が違っていたのか。
調べてみると、剪定という作業をすっかり忘れていたことが分かりました。
「桜伐る馬鹿梅伐らぬ馬鹿」、梅はバラ科でロウバイはロウバイ科ですから別の植物なのですが、剪定という作業は梅と同じく必要でした。
翌冬には剪定の効果があってか、複数の蕾がつきました。
年末になるにつれて蕾が黄色く膨らんでいき、しかし咲くことなく蕾が次々と無くなっていったのです。
再び調べてみると、ロウバイの蕾はムクドリの大好物だそうで、確かにこのころ小鳥の鳴き声をよく聞くようになったことを思い出しました。
地面を見ると、明らかにフンの形跡がありました。
翌々冬はムクドリから蕾を守るため、鳥よけ(フクロウ型の金属板)を取り付けました。
数日は効果があったのですが、慣れたのか蕾が啄まれ始めました。
最終手段として、防鳥ネットでロウバイの木を覆うことにしました。
これはさすがに効果抜群で、ムクドリは寄らなくなりました。
しかし問題は、ロウバイの花が咲くまでネットがあると、せっかくの景観を著しく損ねるということです。
果実等を守ることが目的の防鳥ネットですから、お花見まで想定した設計になっていないのです。
そこで、蕾が開花する直前で防鳥ネットを外すことにしました。
すると、ムクドリはその後も寄ってきませんでした。
開花直前の大きな蕾や花になってしまうと、啄む対象外になってしまうのかもしれません。
このようにして、ようやくロウバイの花を観賞する夢がかないました。
ロウバイの花が咲く1~2月は、花の少ない時期でもあり、ご近所の方にも楽しんでいただけるようなシンボルツリーに育てていきたいと思っています。