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退職金運用へ向けた準備を始めた理由
「定年退職後は、時間拘束されず自由に生きたい!」
「お金不足が理由で、再就職して社畜道を歩み続ける後半生は断じて避けたい」
という切なる願いを実現するため、退職金運用へ向けた準備を始めました。
もちろん、退職金運用だけで経済的自立を獲得できるような高給取りではありませんので、年金や在宅ワーク等を交えた「収入源の分散」という形になります。
ゆえに、FIREと呼ばれるような資産運用とは異なり、定年退職後の後半生という状況に適した退職金運用を検証していきます。
退職金運用で失敗しないために事前検証を開始
退職金運用でよく聞くのが、投資に失敗して資産を失うケース。
投資初心者が退職金運用で投資デビューする場合に多い事例のようです。
本検証を開始した2021年11月時点の私は、iDeCoやつみたてNISAを始めたばかりの投資初心者です。
投資信託の銘柄選びはネットの評判を見ながら無難なインデックスファンドに決めましたし、積立を開始したならば放置した方が良いとのことだったので、そのとおりにしています。
これは、iDeCoやつみたてNISAという仕組みを使った「資産形成」には良いのでしょうが、退職金を使って所得を得ようとする「資産運用」へ向けた勉強にはなっていません。
退職金運用に向けた勉強の手始めとして、退職金をもらった自分をイメージしながら実際に投資信託を購入して、どのような値動きをするのか体験すること、増減した時に自分のメンタルがどう反応するのか確認すること、この2点を検証します。
購入した投資信託は表のとおりです。
ファンド名 | 主な投資対象 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 米国株(大企業) |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 米国株(全企業) |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 全世界株 |
楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド | 米国株(高配当金を出す企業) |
eMAXIS NASDAQ100インデックス | 米国株(ハイテク企業) |
楽天 レバレッジNASDAQ-100 | 米国株(ハイテク企業)のレバレッジ |
iFreeNEXT FANG+インデックス | 米中ハイテク企業 |
フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド | 日本ハイテク企業 |
ベトナム・ロータス・ファンド | ベトナム企業 |
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 先進国債券 |
楽天・米国レバレッジバランス・ファンド | 米国債券のレバレッジ、米国株(全企業) |
楽天 みらいファンド | 全世界株、高利回り債券 |
検証開始1ヶ月で、いきなり下落に直面しました
2021年12月すべてのファンドが見事に元本割れ。
退職金運用で一番恐れていた「退職金を一括投資した直後に大暴落に直面」というパターンを、そのまま体感させてくれました。
コロナ禍のここ数年、株式相場は右肩上がりだったこともあり、あわよくば検証ついでにお小遣い稼ぎと思っていたのですが、そんなに甘くは無かったです。
退職金運用では、インデックスファンドの定率取崩しを想定していたのですが、この状態だと取崩しに不安を感じ、年金の範囲内で節約するか、望まない再就職を余儀なくされるか、いずれかでしょう。
下落の原因は「米国の量的緩和縮小」「米国の利上げ前倒し」「オミクロン株の流行開始」「中国の恒大ショック」「岸田ショック」と、これでもかというくらいのオンパレード。
もちろん私は経験が浅いので、投資とはこんなものなのかもしれませんが、報道でも下落を大きく取り上げていることをみると、なかなかのスペシャルタイミングで検証を開始したようです。
下落したファンドのワースト3
- iFreeNEXT FANG+インデックス(-8.64%)
- 楽天 レバレッジNASDAQ-100(-6.96%)
- フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(-4.84%)
FANG+は特に中国株の下落が大きかったです。
レバナスは文字通り下落にレバレッジがかかりました。
テクノロジー厳選株式ファンドは銘柄の特徴ではなくシンプルに日本株の下落ですね。
下落せず耐えたファンドのトップ3
- eMAXIS Slim先進国債券インデックス(-0.44%)
- 楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(-0.79%)
- 楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(-0.88%)
トップ3といっても上昇しているファンドは無く、債券ファンド2つが何とか下げ止まっているという感じ。
また、米国高配当株式インデックスはディフェンシブ銘柄が多い分、相対的に踏みとどまりました。
運用方針を「インデックス定率売却&高配当ETF分配金」のハイブリッド戦略へ変更
検証開始から1年が経過しても、世界的な株価下落が止まりません。
これだけ下落局面が続くと、株式を投資対象としている投資信託の基準価格は暴落。
下落の一因が欧米の利上げであるため、金利上昇に弱い債券ファンドも一緒に暴落中。
退職金運用の本番ではなく、少額を用いた検証中だというのに、自分のメンタルは結構ダメージを受けるようです。
検証前は「相場に関係なく、たんたんとインデックスファンドの定率売却を続ける」と決めていたのですが、最近のようにほぼ全銘柄下落していく中で、定率売却を継続することは困難と判断しました。
そこで、下落局面において売却をせず分配金を受け取れる高配当ETFを、インデックスファンドの定率売却と組み合わせるハイブリッドすることにします。
2019~2021年のような株価上昇局面ではインデックスファンドが強く、2022年のような下落局面では高配当ETFが手堅い。
実際、米国の高配当ETFを投資対象とする「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド」は堅調です。
利上げ中の株価暴落、債券は株式のヘッジ役を果たせず同時下落
退職金運用ポートフォリオのリスク低減のためにある程度組み入れようと考えていた債券ですが、下落幅こそ株式より小さいものの、値動きは株式と相関しており、事前に期待していたような逆の値動き、ヘッジとしての役割は果たせていません。
本検証で、S&P500やNASDAQ100に連動するインデックスファンドに対し逆相関の値動きを示したのは米国の高配当ETF(VYM)を投資対象とするファンドでした。
もちろん、下落の要因によって資産の相関性は変動するので一概に言えませんが、株式ほどのキャピタルゲイン(売却益)は無く高配当株ほどのインカムゲイン(配当金等)も無い。
債券は、ポートフォリオへの組み入れが難しい資産だなという印象を持ちました。
退職金運用の検証結果
退職金運用に向けた勉強の手始めとして、退職金をもらった自分をイメージしながら実際に投資信託を購入して、どのような値動きをするのか体験すること、増減した時に自分のメンタルがどう反応するのか確認すること、この2点を検証しました。
検証結果より、退職金運用に適した投資対象の採否は次のとおりになりました。
- ハイテク系ファンド、レバレッジ型ファンドは、値動きが激しすぎて退職金運用の対象としてはメンタルが持たない(下落局面では毎日株価の事で頭がいっぱいになり、メンタルヘルスに影響がでそう) → 不採用
- 債券の値動きは、株式の逆相関(逆の値動き)では無くほぼ同じ値動きとなったため、ポートフォリオも私のメンタルも安定させてくれなかった → 不採用
- 全米や全世界の株式に分散投資するファンドまで下落する中、高配当ETFを投資対象とするファンドは健闘し、円安効果もあって唯一の黒字となった → 採用
この検証結果から、退職金運用のポートフォリオには「下落局面において売却をせず分配金を受け取れる高配当ETF」と「相対的に安定した値動きをした全米や全世界の株式を対象としたインデックスファンド」の組み合わせが適していることがわかりました。
退職金は人生最大の一括収入かつその後は年金しか無いという現役世代の資産形成とは全く異なる投資条件においてはメンタルが重要です。
数年下落しても10年待てば資産倍増と言われても、その間の先行き不安な老後生活で疲弊してしまうし、そもそも退職金を倍増させたところで若い頃のような気力・体力・残り時間もありません。
老後には将来より今の安定的収入と心の平穏が大切です。
人生100年時代とは言うものの、現役世代に近い感覚で人生楽しめるのは、もちろん個人差はありますが60~75歳くらいでしょうか。
ちょうど年金受給年齢の引き上げ引き下げ対象期間と重複しますね。
この時間を、仕事を生き甲斐とする方は特に収入の心配は不要ですが、若い頃に仕事に時間を奪われてできなかった長期旅行・釣りや登山・家族との時間・心身の健康の回復等に充てたい方には、時間や精神を拘束されない収入源の一つとして退職金運用は重要です。
退職金をどう活用するか、目的に合致した運用方針を確立しましょう。