配当金などの金融所得を社会保険料の算定に反映する検討が始まりました
2024年4月25日の共同通信等の報道で、自民党が社会保険料の算定に配当金などの金融所得を反映する仕組みの徹底に向けた議論を始めたとのニュースがありました。
25日にプロジェクトチームの初会合があったばかりであり、まだどうなるのかはわかりませんが、これまでも金融所得課税の議論が事あるごとにありましたし、なんとかして国民の私有財産を国庫に納めさせたいという執念を感じます。
もっと先にやることがあるだろうと、ツッコミを入れたいところは多々ありますが、ここでは新NISAへの影響と対策のみにしぼって考察します。
報道のとおり確定申告有無の不公平是正が本音なら新NISAに影響は無し
ニュースでは、「現在は確定申告をした人のみ保険料に反映され、不公平との指摘があった。見直しによって未申告だった人の保険料が増える可能性がある。」とありました。
これは、特定口座などの課税口座の話です。
課税口座の場合は、課税方法を総合課税、申告分離課税、申告不要の中から選ぶことになります。
今回、検討の対象となっているのは、この課税口座の申告方法による不公平の是正です。
つまり、新NISAは非課税口座なので、そもそも申告の必要が無く、影響なしという事になります。
将来の金融所得課税に備えて新NISAでも対策を
今回は課税口座の話であっても、将来的にはいろいろな理屈をつけて、非課税口座である新NISAにも、金融所得課税の手が伸びてくる可能性を完全に否定することはできません。
ただ、今回の論法を見ていて、課税の攻め方は、金融所得全体に対して一律ではなく、所得の種類によって個別に攻撃してくるという事が見て取れました。
そうであれば、投資の成果である所得の種類を、できる限り分散しておくことが対策となりそうです。
まず、今回検討対象となっているのは、(課税口座の)配当所得です。
つまり、株や投資信託の売却による譲渡所得は対象となっていないように読み取れます。
もし、将来的に金融所得課税の手が新NISAへ伸びてきても、譲渡所得を目的としたインデックス投資と配当所得を目的とした高配当投資にハイブリッド投資しておくことは、有効な対策かもしれません。
また、新NISAだけではなくiDeCoも、所得の種類の分散という観点では魅力的です。
iDeCoの最大のメリットは入金時の所得控除であり、受取時には課税されるのがデメリットと言われることがあります。
しかし、iDeCoに対する課税は、特定口座等の通常の課税口座とは全く異なり、退職所得と雑所得のいずれか、あるいはこれらのハイブリッドで受け取ることができます。
当然のことながら、税制を作る国側からすると、所得の種類によって異なる理屈(法改正等)が必要となるため、法治国家であることを取り下げない限り「投資された金融資産に対して一律!」というわけにはいかないのです。
私たちが普段から、投資先に対して分散投資を心掛けているのと同様に、タックスプランニングにおいても分散を心掛けていきましょう。