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楽天オルカンと楽天S&P500がiDeCo対象商品に追加されました
2024年1月26日から、楽天オルカンと楽天S&P500がiDeCo対象商品に追加されました。
最近は新NISAで楽天証券とSBI証券の2大ネット証券がしのぎを削っています。
2023年後半に新規設定した投資信託を比べると、楽天はキャピタルゲイン重視のインデックスファンド、SBIはインカムゲイン重視の高配当ファンドといった違いを明確にして、私たち個人投資家に幅広い選択肢を与えてくれています。
一方、iDeCoに関しては、かつてのつみたてNISA(現在の新NISAつみたて投信枠)以上に対象商品に厳しい基準が設けられています。
60歳まで原則出金できないという、年金という位置づけの制度ですので、キャピタルゲイン重視のインデックスファンドが多いのです。
SBI証券iDeCoは、人気のeMAXIS Slimシリーズを揃えており、ライバルの楽天証券iDeCoに差をつけていたと認識しています。
もちろん、楽天証券iDeCoに優秀なインデックスファンドが無かったわけではありません。
しかしそれは、楽天VTや楽天VTIといった、米国ETFを投資先とする構造のファンド(ファンド・オブ・ファンズ方式)であったため、少なくとも「指数会社」「米国ETF会社」「楽天」と3つでコストが発生することから、信託報酬がeMAXIS Slimシリーズに比べて割高となっていました。
しかし、今回追加される楽天オルカンと楽天S&P500は、eMAXIS Slimシリーズと同じ構造(ファミリーファンド方式)であり、米国ETF会社を介さないことから長期運用に適した低い信託報酬となっています。
これにより、楽天証券iDeCoとSBI証券iDeCoの差(S&P500の有無や信託報酬)は解消されたことになります。
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スイッチング先を楽天オルカンと楽天S&P500のどちらにするか比較検討
現在保有している楽天VTIは信託報酬が高いので、今回スイッチングすることに迷いは無かったのですが、スイッチング先を楽天オルカンと楽天S&P500のどちらにするかについては迷いました。
結論として、以下の3つの視点から比較検討して、楽天オルカンへスイッチングすることに決めました。
信託報酬のお得感
既存の米国株式である楽天VTIと全世界株式である楽天VTを、それぞれ対応する新規追加ファンドを信託報酬の差で比較すると次の表のようになります。
ファンド名(信託報酬) | ||
米国株式 | 楽天VTI(0.1617%) | 楽天S&P500(0.077%) |
全世界株式 | 楽天VT(0.1914%) | 楽天オルカン(0.0561%) |
どちらも信託報酬が低くなっていますが、全世界株式の差の方が大きいことが分かります。
さらに、新NISAと違ってiDeCoには投信残高ポイントプログラムが適用されません。
投信残高ポイントプログラムは、楽天オルカンより楽天S&P500の方に大きく寄与しますので、新NISAでは実質的な信託報酬の差が以下のように縮小されます。
信託報酬 | 投信残高ポイントを加味した信託報酬 | |
楽天S&P500 | 0.077% | 0.049% |
楽天オルカン | 0.0561% | 0.0391% |
しかし、iDeCoでは0.077%と0.0561%のままなので、元々の信託報酬が安い楽天オルカンが有利に感じられます。
以上のように、VTIやVTとの比較、投信残高ポイントプログラム無し状態での信託報酬の比較から、楽天オルカンの方にお得感がありました。
新NISA投資商品との分散
私は新NISAつみたて投信枠で、楽天S&P500に積立投資しています。
その前身であるつみたてNISAでも、eMAXIS Slim S&P500に積立投資を完了して維持運用段階にあります。
気分の問題かもしれませんが、ここでiDeCoでもS&P500を選択すると、米国一国リスクのような事態が起きた時や、米国以外の国のシェアが想定以上に大きくなった時に後悔しそうでいやだなと思ったのです。
実際、20世紀後半は米国より日本のシェアが大きかったですし、20世紀前半は欧州ですからね。
長期・分散・低コストという3要件のうち、分散の観点では、47か国・36通貨・2900銘柄を投資対象としているオルカンが優れていると思いました。
iDeCoの出口戦略
iDeCoの受給方法には、一括(一時金)と年金の2方式があります。
それぞれ税金が異なるため、何歳からどちらの方法、あるいは両方を組み合わせて受給するかによって、折角の評価益を生かすも殺すも出口戦略次第となります。
出口戦略については以下の記事にまとめておりますので、参考にしていただければ幸いです。
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このように、同じ長期投資とは言え、特に制限の無い新NISAとは異なり、iDeCoには受給年齢や受給方法といった出口戦略に一定の制限を受けるのです。
受給時期に制約があることのデメリットは、その時期に投資対象ファンドの調子が悪いと、安値で売却を強いられてしまうという事です。
オルカンもS&P500も、長期的に見て右肩上がりということから、投資対象ファンドとして人気があります。
しかし年単位で見ていくと、米国、その他先進国、新興国といった地域が入れ替わりで株価上昇率首位を争っています。
米国と言えども、複数年にわたって首位であり続けることは無かったのです。
しかしオルカンは、その分散効果によって、毎年1位にはならないがビリにもなりません。
この安定性が、iDeCoの年金受取には有利と判断しました。
以上の理由(信託報酬、新NISAとのファンド分散、出口戦略)から、楽天VTIのスイッチング先を楽天オルカンに決めたのです。
楽天VTIから楽天オルカンへスイッチング手続き
2024年1月27日に楽天証券iDeCoのラインナップを確認すると、楽天S&P500と楽天オルカンが、それぞれ外国株式と国内外株式(オルカンは日本も含むため)に追加されていました。
まだ運用実績が少ないため、過去のリターンが「ー」で表記されています。
スイッチングの操作は、下図の「掛金の配分状況を変更する」(あるいは「保有商品を入れ替える」)のボタンをクリックして簡単にできます。
この図はスイッチング完了後のため、下段に現在の保有資産「外国株式」(楽天VTI)、上段にスイッチング先の「国内外株式」(楽天オルカン)が記載されています。
約定までの期間は、スイッチング先の銘柄によっても異なりますが、私の場合は1月27日に申し込んで、1月30日に約定されることになりました。
今月のiDeCo運用成績(2024年1月:3年0ヶ月目)
iDeCo開始から3年0ヶ月が経過した2024年1月時点の運用成績は以下のとおりです。
【運用商品】楽天全米株式バンガード(楽天VTI)
【評価損益】148,182円
【運用利回り】18.22%
2023年後半から米国長期金利の下落基調が続き、米国株は力強い上昇が持続しています。
昨年12月、FOMCで3会合連続の利上げ停止が決定されるとともに、2024年には3回の利下げが行われる観測が強まったことも追い風です。
為替については、日銀がマイナス金利政策を継続したことから、ふたたび円安ドル高に回帰しました。
このため、iDeCoの運用利回りは15.35%(12月)から18.22%(1月)と上昇しました。
2024年1月末には運用商品を楽天VTIから楽天オルカンにスイッチングしますが、このまま世界経済の右肩上がりが続いて欲しいと思います。
過去のiDeCo運用成績
iDeCo開始(2020年12月)
職場のライフプランニングセミナーに参加して、iDeCoを初めることにしました。
今にして思えばちょうどコロナショック後の株価上昇期にあったので、周囲にもiDeCoを始めようという人が多かった記憶があります。
また、楽天経済圏のポイント制度が今よりもっと良かった時期でもあり、ネットの評判などを参考に楽天証券でiDeCo口座を開設しました。
当時はあまり投資信託の情報収集などしたことはなかったので、投資対象ファンドの中からファンドスコアの高い銘柄を4つ選びました。
- 【外国株式】楽天全米株式バンガード
- 【国内株式】ONEたわら225
- 【外国債券】ONEたわら先進国債
- 【国内REIT】野村JREIT(DC)
分散という意識もありましたが、それ以上に各銘柄がどんな値動きをするのだろうという興味もありました。
2021年8月時点の評価損益はプラス9,503円でした。
運用8ヶ月目でこの利益、もっと早く始めればよかったと思いました。
投資銘柄をスイッチング(2021年9月)
iDeCo開始して約1年が経過し、そろそろ投資銘柄のスイッチングをすることにしました。
最初はリバランス(残高調整)だけにするつもりだったのですが、保有資産の値動きを約1年間見てきた中で、iDeCoは長期間資金拘束される(60歳以上でなければ売却できない)ので、「安定性より上昇率(リスクをとる)」と「信託報酬を安く抑える」の2点を重視して投資銘柄を選びなおすことにしたのです。
- 楽天全米株式バンガード → 優秀(そのまま)
- ONEたわら225 → 上昇率が小さい。もう少し様子を見る。
- ONEたわら先進国債 → 上昇率が小さい。安定性より上昇率を優先し、楽天全米株式バンガードへスイッチング
- 野村JREIT(DC) → アクティブファンドで信託報酬が高いため、ONEたわら225へスイッチング
iDeCo開始から10か月後の2021年10月時点の評価損益はプラス12,926円でした。
ついに5桁になりました。
初めての下落を経験(2022年1月)
国内株式の上昇率があまりに低く、かつ日米の株式の値動きが同じであり分散するメリットが感じられなかったので、全て楽天全米株式バンガードにスイッチングしました。
しかし、このスイッチングを待っていたかのように米国の利上げショックが始まりました。
iDeCo開始以来、初めての下落を経験することになりました。
これまで増え続ける評価益を見ながら気を良くしていたのですが、赤字にはなっていないものの評価益が減ると、なんだか損した気分になってしまいます。
iDeCo開始から1年1か月後の2022年1月時点の評価損益はプラス6,260円でした。
また4桁に逆戻りです。
為替の力を実感(2022年10月)
米国の利上げが続く中、同じ時期に記録的な円安が進んだため、評価損益は相殺どころか、プラスに転じました。
為替の力、知識としては多少理解したつもりでいましたが、実感してみると驚いてしまいました。
これの逆パターンもあるかと思うと、恐ろしくもありますが。
iDeCo開始から1年10か月後の2022年10月時点の評価損益はプラス40,573円でした。
再び5桁に回復しました。
評価益がほぼゼロに(2022年12月)
円安効果で評価益が回復したと喜んだのもつかの間、その2か月後の2022年12月にiDeCo開始以来、最低の評価損益を記録しました。
原因はやはり為替で、急激な円安を嫌った日銀が為替介入を実施したため、為替レートが円高ドル安に少し戻したのです。
評価益がゼロになることなんて、よくあることなのでしょうが、なんか今までの投資努力が否定されたような気分になります。
これ、赤字になったら自分は耐えられるのかなと思ってしまいますが、翻弄されないよう次は資産成績の確認間隔を半年くらい開けるようにします。
iDeCo開始から2年後の2022年12月時点の評価損益はプラス1,327円でした。
含み益で喜んでいてはいけないということを学びました。
投資額の減額を後悔(2023年8月)
約半年ぶりにiDeCoの運用成績を確認してみると、評価益が10万円を超えていました。
実は前回の評価益ゼロ事件の後、グラフの黒線でわかるように投資金額を減額していたので、今にして思えば一喜一憂して投資額を変更したことは失敗でした。
元に戻そうとしたのですが、投資額の変更は年1回しかできないため、来年まで待たなければなりません。
こういう失敗だけはするまいと思っていても、実際やってしまうものなのですね。
まだ少額のうちに経験できてよかったです。
iDeCo開始から2年8か月後の2023年8月時点の評価損益はプラス102,555円でした。
ついに初の6桁に到達しました。