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新NISA成長投資枠で高配当ADR銘柄に投資する理由
新NISAの投資方針を検討した結果、つみたて投信枠ではS&P500連動の投資信託、成長投資枠で日本高配当ETF・米国高配当ETF・ADR銘柄を購入することにしました。
新NISAの投資戦略|S&P500投資信託と日米高配当ETFの組合せ
Contents投資目的と投資方針つみたて投信枠ではS&P500投資信託修正:投資先をeMAXIS Slim S&P500から楽天・S&P500へ変更成長投資枠では日米の高配当 ...
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このうち、ADR銘柄については他のアセットとは役割を明確に区分しています。
ADR銘柄のような個別株は、銘柄によっては高配当を期待できる反面、相応のリスクがあることは否めません。
ETFのように国やセクターといった大きい経済単位の値動きだけではなく、企業業績等が値動きに強く反映されます。
一般的には、ほったらかし投資での長期保有には向かない傾向があります。
したがって、ADR銘柄は、新NISAでの資産運用初期(高配当ETFの利回りが低い時期)において、ポートフォリオ全体での利回りを年利4%以上とするための手段として、一時的に運用します。
長期保有はせず、高配当ETFが十分に増配した段階で売却して、高配当ETFを追加購入資金とする計画です。
このため、新NISAでの資産運用初期に該当する2024~2028年の5年間(成長投資の年間投資上限は240万円、上限1200万円までの最短入金期間は5年)を目安に、安定した配当金を出しそうな銘柄を比較検討していきます。
新NISAの高配当株投資は、「10%課税される米国株」より「配当金非課税国のADR銘柄」が税制面で有利
ADR(米国預託証券)は、米国の投資家が海外企業に投資するために発達した仕組みです。
そのためADR銘柄には、投資家の人気が高い、国際的な大企業の高配当株が多いです。
配当金に対する課税制度は母国で決められており、米国税は課税されません。
国別の配当金課税率は以下のとおりです。
配当金課税率 | 国名 |
非課税(0%) | イギリス |
オーストラリア | |
インド | |
ベトナム | |
ブラジル | |
シンガポール | |
10% | 米国 |
中国 | |
15% | カナダ |
メキシコ | |
オランダ | |
20.315%(新NISAでは非課税) | 日本 |
21% | 台湾 |
25% | アイルランド |
35% | スイス |
新NISAで高配当株を購入する際によく聞くのが、日本株の配当金は非課税だけど、米国株の配当金は課税されるという事。
新NISAはあくまで日本の非課税制度なので、投資先企業の母国における税金を非課税にすることはできないのです。
なので、米国で10%課税されてしまう米国高配当株より、新NISAでは非課税となる日本高配当株の方が、従来に比べると税金面で有利になりました。
一方、母国によってはNISAとか関係なく、もともと配当金非課税の国があります。
上記の表のとおり、イギリス、オーストラリア、インド、ベトナム、ブラジル、シンガポールは配当金非課税です。
つまり、これらの国のADR銘柄を新NISAで購入すれば、日本株のような非課税メリットが受けられます。
JEPIやQYLD等の米国超高配当ETFが軒並み除外された新NISAで高配当を狙うためには、非課税の高配当ADR銘柄は有力な選択肢ですね。
英国・豪州の高配当ADR銘柄の利回り比較
比較するADR銘柄は、配当金非課税であるイギリスとオーストラリアの中から配当利回りの高いものを選定しました。
2024年9月時点の配当利回りは表のとおりです。
コード | 銘柄名(会社概要) | 配当利回り | セクター |
VOD | ボーダフォン・グループ (多国籍携帯電話事業会社) | 9.69% | 電気通信サービス |
BTI | ブリティッシュ・ アメリカン・タバコ(世界的なタバコ会社) | 7.63% | 生活必需品 |
NGG | ナショナル・グリッド (英米の送電・ガス供給企業) | 7.2% | 公益事業 |
BP | BP (石油メジャー6社中の1社) | 6.08% | エネルギー |
BHP | BHPビリトン (世界最大の鉱業会社) | 5.51% | 素材 |
HSBC | HSBCホールディングス (世界最大級のメガバンク) | 4.62% | 金融 |
DEO | ディアジオ | 3.78% | 生活必需品 |
GSK | グラクソ・ スミスクライン (世界最大級の製薬企業) | 3.58% | ヘルスケア |
UL | ユニリーバ (世界最大級の家庭用品企業) | 2.94% | 生活必需品 |
配当利回り7%超の「VOD」「BTI」「NGG」
VODは高い配当利回りが続いています。
しかし、株価は右肩下がりが続いているのです。
電気通信事業者あるあるで、5G設備投資が業績を圧迫しています。
かといって企業が自由に通信料金を上げられない(国が一定のコントロールをする)というのも、電気通信事業者ならではですね。
BTIも高い配当利回りが続いていますが、株価は右肩下がりです。
たばこ産業も国が一定のコントロールをするので、構造としてはVODと類似性があるのかもしれません。
日本では両業種とも、かつては「公社」でしたからね。
一方で、国の関与が強い特殊な企業ということは、安心感もあります。
10%前後の利回りで、株価が低い状態なら、今が仕込み時という可能性もあります。
NGGは、2023年末から配当利回りが4%前後に落ち込んだ時期がありましたが、今月は約7%と、定位置に戻ってきた感じです。
NGGが担う送電やガス供給は、国の重要インフラですから、VODやBTIと同じように安心感がありますね。
BP、BHPは6%前後で安定しています。
HSBCは、金融セクターだけに、2024年からの欧州利下げの影響を受けたのか、配当利回りが低下してきました。
DEO、GSK、ULは、利回り4%以下で推移しています。
私はADR銘柄を、
- 新NISAでの資産運用初期において、ポートフォリオ全体での利回りを年利4%以上とするための手段として、一時的に運用
- 長期保有はせず、VYM等の高配当ETFが十分に増配した段階で売却して、高配当ETFを追加購入資金とする計画
という役割で運用するので、購入するADR銘柄には、余裕を持って4%を上回る利回りを求めます。
したがって「VOD」「BTI」「NGG」あたりが有力候補になりそうです。
SBI欧州高配当株式(分配)ファンドの組入銘柄に「VOD」「BTI」「HSBC」「NGG」がランクイン
2024年2月28日に「SBI欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」が新規設定されます。
SBIは新NISA開始に合わせて、日米の優れた高配当投資信託を多数設定してきましたが、今回はその欧州版となります。
このファンドの運用開始時点の組入銘柄がSBIから発表されました。
この組入銘柄と当記事で紹介したADR銘柄を比較すると、1位のVOD、3位のBTI、13位のHSBC、22位のNGGが重複していますね。
ADR銘柄は配当利回りが高く、そしてイギリスは配当金非課税なので、プロのファンドマネージャーが選んだ組入銘柄にも、上位ランクインするのだと思います。
また、SBIの資料によると、組入銘柄は配当利回りだけではなく、企業のファンダメンタルズ、株価のバリュエーション、時価総額や流動性も勘案して選定するとのことです。
ADR銘柄への投資に際して、このファンドの組入銘柄に選定されているか否かは、プロの評価を参考にできる貴重な情報源になりますね。