観てよし涼んでよし食べてよし「ゴーヤのグリーンカーテン」
2023年の夏も暑かったですね。
アスファルトの歩道を歩いていると、なんかこう、日光と輻射熱で上下から加熱されて、いい感じに焼き肉へなっていく気がしたので、極力外出を控えて自宅に引きこもっていました。
夏の植物、特にサルスベリなど樹の花々が好きなのですが、この夏は庭木で満足することにしました。
十数年前でしょうか、今ほど暑くはなかったですが、仕事が忙しくて夏の植物を楽しむ時間など全く取れないシーズンが幾度と続いていました。
当時は社宅に住んでおり、草木が育つ庭は無く、集合住宅らしいベランダがあるだけでした。
四季を感じる緑が欲しい!
そう思っていた時に、ベランダにプランターを置いてゴーヤのグリーンカーテンを作ってみようという着想を得ました。
近所のホームセンターに足を運ぶと、ちょうどゴーヤの苗が店頭に並んでいました。
植物を育てるのは、小学生のアサガオやコスモス以来かもしれず、ワクワクするけど自信は無かったので、種ではなく苗から育てることにしました。
プランターもそれなりに大型でしたが、もっと印象に残っているのが支柱とネットです。
目指すグリーンカーテンの規模にもよりますが、当時の私はリビングの窓から見える景色を全てグリーンカーテンで覆ってしまいたいという夢があったため、背の高い支柱数本と幅広なネットを購入しました。
ベランダに支柱とネットさえセットしてしまえば、ゴーヤの育成そのものは簡単でした。
ホームセンターで売っていた土に十分な栄養が含まれているため、ほとんど水を上げるだけで、どんどん大きくなっていきました。
窓がすっかり緑色に覆われて感動していたところに、さらに嬉しい色を発見しました。
それは小さな黄色、初めて知ったゴーヤの花の色でした。
花が咲くと、次はゴーヤの実がなるのを見つけたくて、上下左右に幅広いグリーンカーテンの隅々までチェックするのが日課になってきました。
そしてついにゴーヤの実に出会えました。
小さな濃緑の実、ベランダのプランター育成だから大きさはこれくらいだろうなと納得していたのですが、それがどんどん大きくなって普通に店頭で売っているサイズに成長しました。
しかもそれがグリーンカーテンのあちらこちらに次々と誕生するのです。
はじめのうちは、食べるのがもったいないくらいに思っていたのですが、これだけたくさん実がつくと、ゴーヤチャンプルなどにしてどんどん食べていかないと追いつかないほどでした。
実際、一部は間に合わずそのまま種となりました。
翌年、翌々年は、採れた種から育てたのですが、育て方が下手だったのかグリーンカーテンは完成したものの、最初の年ほどには実がなりませんでした。
種、土、気象、摘心、ミツバチ? など、いくつか原因を考えてみたのですが結局わかりませんでした。
その後は引越しがあったり、自宅購入したりで、毎年続くのだろうなと思っていたゴーヤのグリーンカーテンも実質3年で終わり。小さな1ページを綴るのみでした。
それでもこの夏、焼き肉にされかけながらも近所のスーパーに行くと、ゴーヤに手を伸ばす自分がいました。
肉だけではこの夏は乗り越えられないから、夏野菜の代表たるゴーヤを食べて元気を出そう。
そう思ったのか、ただの偶然か。わからないけど、久しぶりにゴーヤの実をまるごと手にしたことにより、懐かしいことを思い出しました。
ゴーヤのグリーンカーテン、苦しいことが多かったサラリーマン時代における、夢いっぱいの小さな黄色い花、そんな記憶です。